特許異議申立制度とは
特許異議申立制度は、他人の特許権を消滅させる一つの方法で、特許掲載公報の発行日から6か月以内に何人もすることができます(特許法第113条)。2003年に旧異議申立制度が廃止された後、他人の特許を消滅させる方法は特許無効審判のみでした。特許庁(経済産業省)は、平成25年の特許法改正で特許異議申立制度を復活することにしました。
特許異議申立ては、特許庁の審査官が行う特許出願の審査と異なり、異議申立人と特許権者が意見を述べ合う構造をとっているので、審査と異なるノウハウがあり、経験豊富な弁理士に相談するとよいでしょう。
特許異議申立制度の概要は、「平成26年度特許法等の一部改正 産業財産権法の解説」の76頁に詳しく掲載されています。下記リンクからも閲覧できます。
特許異議の申立て制度の概要
特許異議申立制度の特徴
特許異議申立ては、特許掲載公報の発行日から6か月以内にすることができます(特許法第113条)。このため、特許成立後の早い時期に競合他社の特許を消滅させたいときに有効な、最初の紛争解決手段です。特に、下記のような方にとって、他社特許を消滅させたり、その効力範囲を減縮させて、自社の技術的自由度を広げるために有効です。
・他社の気になる特許を発見した方
特許異議申立てによって他社特許が消滅するかもしれません。
・特許公報をウォッチングして他社技術を監視している方
特許異議申立てによってウォッチングの結果を活用してみませんか。
特許異議申立ては、何人もすることができます(特許法第113条第1項)。このため、素性を隠して他社特許を消滅させる唯一の方法であり、御社の社名を出すことなく紛争の未然解決が図れます。
特許異議申立てはいつできますか
特許異議申立書は、特許掲載公報の発行日から6か月以内に特許庁に提出しなければなりません(特許法第113条)。異議申立期間は延長が認められていません。
特許掲載公報の発行日は、特許公報に「(45)【発行日】平成27年4月1日(2015.4.1)」の様に表示されています。
特許掲載公報の発行日が平成27年4月1日である場合、特許異議申立ての期限は6か月後の平成27年10月1日になります。初日(公報発行日)は期間に算入されません。また、期限日が閉庁日である場合、次の開庁日が期限日になります。
特許権者にとって、特許異議申立てがあったかが気になりますが、日本国特許庁は特許異議申立てがなかった旨の通知を発行していません。特許権者は、INPITが提供しているJplat-patの経過情報によって、特許異議申立ての有無を知ることができます。
特許異議申立てが成功すると
特許異議申立てが成功し、取消決定がされると、特許権は遡求的に消滅します。このため、特許権者から特許権侵害の警告や訴えを起こされる心配がなくなります。
もし、異議申立てによって特許を消滅できなくても、特許権者が防御のために権利範囲を狭くする訂正をすることがあります。製品が訂正後の特許権の範囲外になれば、特許異議申立ての目的は達成したといえます。
特許異議申立ての準備は
特許異議申立てをご希望の方は、以下の手順で準備をしてください。どの段階で弁理士に相談してもよいでしょう。
・まず、特許公報の発行日を確認してください。特許公報には様々な日付が記載されていますが、発行日は「(45)【発行日】平成27年4月1日(2015.4.1)」の様に表示されています。特許異議申立ての期限は6か月後になります。
・次に、この特許を消滅させるための先行技術を調査します。専門の調査会社もご紹介できるのでご相談ください。
・弊所で、補充的な先行技術調査をします。有効な証拠が見つかれば、証拠を差し替えます。
・お客様と打合せ後、弊所弁理士が特許庁へ提出する書面(特許異議申立書)を作成します。
・提出書面をお客様にご確認いただいた後に、特許庁に特許異議申立書を提出します。
特許異議申立てをした後は
・審判官が特許異議申立てに理由があると判断すると、特許権者に取消理由通知が通知されます(特許法第120条の5第1項、審判便覧67-05.1)。
・特許権者は、取消理由通知を受領すると、意見書を提出し、特許の内容を変更する訂正請求ができます(指定期間:通常60日、在外者90日)(特許法第120条の5第1項、第2項、審判便覧67-05.2)。
・異議申立人は、特許権者がした訂正請求について、意見を述べることができます(指定期間:通常30日、在外者50日)(特許法第120条の5第5項、審判便覧67-05.4)。
・審判官は、さらに審理し、取消理由があると判断した場合、「取消理由通知(決定の予告)」を特許権者に通知します(特許法第120条の5第1項、審判便覧67-05.5)。
・特許権者は、取消理由通知に対し、再度意見書を提出し、特許の内容を変更する訂正請求ができます(指定期間:通常60日、在外者90日)(特許法第120条の5第1項、第2項、審判便覧67-05.2)。
・異議申立人は、特許権者がした訂正請求について、さらに意見を述べることができます(指定期間:通常30日、在外者50日)(特許法第120条の5第5項、審判便覧67-05.4)。
・審判官は、さらに審理をして特許異議申立てが成立するかを判断し、決定書を作成します(特許法第114条、第120条の6、審判便覧67-06)。
特許異議申立制度の手続フローは、「平成26年度特許法等の一部改正 産業財産権法の解説」の97頁に詳しく掲載されています。下記リンクからも閲覧できます。
特許異議の申立て制度の手続フロー
特許異議申立ては、特許出願の審査と異なり、3人又は5人の審判官の合議体が審理します(特許法第114条1項)。このため、特許出願の審査における審査官への対応と異なるノウハウが必要です。弊所は、特許異議申立ての手続の経験が豊富な弁理士を擁しており、安心して特許異議申立てをお任せいただけます。
特許異議申立制度は2003年に廃止されて10年以上が経過しています。このため特許異議申立ての経験が豊富な弁理士は極めて少なく、特許異議申立手続を経験したことがある弁理士すら少数派になっています。
特許異議申立制度の概要
特許異議申立制度の詳細
旧特許異議申立制度との違い
無効審判や情報提供制度との違い。
特許異議申立ての手続の留意点
特許異議申立てをするときに役立つ情報
特許異議申立てを受けたときに役立つ情報
特許異議申立ては、経験が豊富な藤央弁理士法人にご相談ください。
依頼人の名前を隠した特許異議申立ても対応いたします。
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藤央弁理士法人
弁理士 藤井正弘、弁理士 新藤善信
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得意とする主な技術分野
コンピュータ(ソフトウェア・ハードウェア)、通信(無線通信・ネットワーク技術・光通信など)、電子デバイス、半導体、画像処理、カーナビゲーション装置、自動車部品、一般機械装置、光学機器 など