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旧特許異議申立制度との違い

 このページでは、2003年に廃止された旧異議申立制度との違いについて、2015年2月25日に公表された「特許異議申立制度の実務の手引き」「審判便覧(第15版)」「面接ガイドライン【審判編】」も取り上げながら解説します。

審理方法が書面審理に
 旧特許異議申立制度では、特許権者、異議申立人若しくは参加人の申立てにより又は職権で、口頭審理が行われることがありました。異議申立人や特許権者に審判廷への出頭が求められると、地方の異議申立人や特許権者にとって時間やコストの面で不利でした。
 新特許異議申立制度では、全て書面審理となり(特許法第118条第1項)、特許異議申立ての当事者の負担が低減されました。

異議申立人に意見書提出機会を付与
 旧特許異議申立制度では、特許権者には意見を述べる機会が与えられていましたが、審理中に異議申立人が意見を述べる機会はありませんでした。このため、異議申立人に不満があり、主張を尽くすためには無効審判によらなければなりませんでした。
 新特許異議申立制度では、訂正請求に対して意見を述べる機会を異議申立人に与え(特許法第120条の5第5項)、申立後に異議申立人が申立後に手続に関与する機会が設けられました。この意見書において、異議申立人は訂正後の特許請求の範囲について新たな理由・証拠を提出できます。
 「特許異議申立制度の実務の手引き」を見てみましょう。手引きの 8.(1) イ には、「特許異議申立人より意見書が提出された後は、提出された意見書の内容が参酌され、審理される。ただし、特許権者による訂正の請求に付随して生じた事項を除き、意見の内容が実質的に新たな内容を含むものであると認められるときは、特許異議申立期間が特許掲載公報発行の日から6月以内に制限されている趣旨を踏まえ、実質的に新たな内容を含む部分は、新たな取消理由としては採用されない。」と記載されています(審判便覧67-05.4の1.(2)も同旨)。つまり、特許権者による訂正の請求に付随して生じた事項については、新たな理由・証拠を取消理由として採用できることになります。

決定の予告の通知
 特許異議申立てのように審判官が審理する手続に無効審判があり、無効審判の審理では審決前に審理の終結が通知されます。特許異議申立てでも同様の通知を望む声がありました。
 そこで、新特許異議申立制度では、取消決定をする前に「決定の予告」である旨が明示された「取消理由通知(決定の予告)」が特許権者に通知されます(審判便覧67-05.5)。無効審判における審理終結通知後は原則として当事者からの手続ができませんが、新特許異議申立制度における決定の予告は取消理由通知なので、特許権者が、意見書を提出し、特許の内容を変更する訂正請求ができます。
 その後、異議申立人には、さらに意見書を提出する機会が付与されます。
 この様に、新特許異議申立制度では、特許権者や異議申立人から十分に意見を聞く機会が担保されました。
 この取消理由通知(決定の予告)は通知されない場合があります。例えば、取消理由通知に対する応答がない場合は、さらに訂正の機会を付与する必要はないと考えられ、取消理由通知(決定の予告)は行われません。

特許異議申立期間経過前審理の導入
 新特許異議申立制度では、「特許異議申立期間経過前審理の上申書」が新たに導入されました(審判便覧67-08)。
 通常、特許異議申立ての審理は、複数の申立を併合して審理するために、異議申立期間の経過後に開始されます。しかし、異議申立書の副本を受け取った特許権者が「特許異議申立期間経過前審理の上申書」を提出すると、異議申立期間の経過前に審理が開始され、特許異議申立てに対する結論を早期に得ることができます。
 しかし、この上申書が提出された場合、異議申立期間の経過前に審理が開始されることや、取消理由通知後は審理の併合が困難であることを考慮すると、特許権者は、この「上申書」を提出した場合に、別個に(一方を中止して順に)進行する複数の異議申立てに対応する可能性があり、審理が複雑化し、特許権者及び特許庁の対応負担が増えることが予想されます。
 このような事情から、特許庁は「特許異議申立期間経過前審理の上申書」が提出された後の運用が悩ましい思っているように感じられます。
 なお、異議申立人から同旨の上申はできません。

審判官との面接
 特許異議申立制度は、異議申立人と特許権者とが意見を述べ合う点で当事者対立構造に類似していますが、基本的には審判官と特許権者との間で審理が進行する査定系手続として位置付けられます。しかし、旧異議申立制度では、一方の当事者に有利になることへの懸念から面接に消極的な審判官も見られました。また、新特許異議申立制度では、口頭審理が行われないため、審判官との面接が行えるかが気になります。新特許異議申立制度では審判官との面接の運用も明確になりました。
・特許権者と審判官との面接
 新特許異議申立制度では、原則として、特許権者に審判官と面接をする機会が与えられます。面接ガイドラインでは「特許権者の代理人等から面接を要請された場合、審理期間中少なくとも一度は面接が行われる。」と規定されました。特許権者が、審判官との面接を希望する場合、電話や上申書によって審判官に連絡をすることになります。
 特許権者と審判官との面接に異議申立人の同席は認められません。両当事者を同席させた面接は、実質的に口頭審理になってしまい、新特許異議申立制度において書面審理を採用した趣旨が没却されます。
 また、異議申立人には、面接が行われた旨は通知されませんが、経過情報や包袋閲覧などで面接が行われたことをることができます。
・異議申立人と審判官との面接
 異議申立人には、原則として、審判官と面接する機会は与えらません。異議申立人に面接機会が与えられないのは、異議申立人は審理のきっかけを与えるだけであることが主な理由ですが、査定系の審理構造の色が強く出ているともいえます。異議申立人との面接に関する規定を具体的に見てみましょう。
 面接ガイドラインでは「特許異議申立事件は、無効審判のような対立構造によるものではなく、合議体(審判官)と権利者との間で手続が進められるものであるため、特許異議申立人との面接は行われない。」と規定されました。異議申立人から面接の要請があっても、面接を行うかは審判官の裁量によります。上記した制度の構造や面接ガイドラインの考え方を考慮すると、異議申立人と面接を行うのは限られた事件のみであると思われます。
 異議申立人と審判官との面接に特許権者の同席は認められません。また、特許権者には、異議申立人と面接が行われた旨が取消理由通知で通知されます。

特許異議申立書の「意見書提出の希望の有無」の欄
 新特許異議申立制度では、異議申立人に意見書の提出機会を付与することから、異議申立書に「意見書提出の希望の有無」を記載する欄が設けられました。「意見書提出の希望の有無」の欄には、異議申立人が意見書の提出を希望しない旨の申出をするかが明確に分かるように、「希望する。」又は「希望しない。」を記載します(特許法施行規則様式第61の2備考5)。
 早期に結論を得たいなどの特別な事情がなければ、通常は「希望する。」を記載する方が、異議申立理由を補充する機会が与えられ、よいでしょう。なお、意見書提出機会を与える必要がないと認められる特別の事情があると審判官が判断した場合は、異議申立人が希望しても意見書提出機会が与えられないことがあります。

特許権者が提出する意見書の「取消理由通知(決定の予告)の希望の有無」の欄
 新特許異議申立制度では、「取消理由通知(決定の予告)」をすることから、特許権者が提出する意見書に「取消理由通知(決定の予告)の希望の有無」を記載する欄が設けられました。「取消理由通知(決定の予告) の希望の有無」の欄には、「希望する。」又は「希望しない。」を記載します(特許法施行規則様式第61の3)。
 早期に結論を得たいなどの特別な事情がなければ、通常は「希望する。」を記載する方が、応答の機会が増え、よいでしょう。

特許異議申立制度の概要

特許異議申立制度の詳細

旧特許異議申立制度との違い

無効審判や情報提供制度との違い

特許異議申立ての手続の留意点

特許異議申立てをするときに役立つ情報

特許異議申立てを受けたときに役立つ情報


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